めだか（趣味のめだか　おおさと）

このメダカ、甲州紅白×白幹之メダカのＦ４から特別な個体として選別しました。




（同個体）

何が特別なのかと言いますと、光沢の出方にあるのです。
稚魚とも言えるであろう体長１ｃｍ位の時、後頭部に小さな光沢のある点が生じたかと思うと、日に日にその点が大きくなり、体長１．５ｃｍを超えたころにはコバンザメの様な楕円形の光沢斑を背中にぶら下げていたからです。
成長した結果、背中に広く光沢が乗ったメダカになりました。

このことは、Ｆ３の中にも１匹見出しており、その１匹が６月にご紹介したこの雄でした。



こちらは、後に赤が強く出て光沢部を覆ってしまい目立たなくなりましたが、良く見ますと赤い頭部の下に光沢の痕跡が残っています。
この雄の特徴を引き継ぎたくてＦ４の採卵に励んでいるのですが、今のところ１匹のみしか検出できていません。
やはり、相当劣勢な遺伝形質なのでしょう。

しかし、雄雌共に同様な形質を持っていれば、出現数が増えそうです。

今回、Ｆ３の雄親とＦ４の雌個体（写真の個体）での交配を進めています。
複数出現してくれれば、稚魚の段階で選別できてしまいますので、良個体を揃えるのに有利なような気がします。
多数出現してほしいですね。

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非透明鱗紅白メダカ作出過程ですが、Ｆ２でやっと出てきた紅白個体同志を交配しても次代に同じものが出ません。
単色のメダカや遺伝性の高い特長を有したメダカの場合、Ｆ２で選別した個体の仔は多くが親に似るのですが、
Ｆ３になって先代や先々代の形質が生じるのは、柄物ゆえんのことかもしれません。

まず、色では、９割が赤か白の単色になりました。
復色になる遺伝形質は劣勢であることがうなづけます。
Ｆ２では生まれなかったダルマ系が高確率に生まれました。
その他、



Ｆ２ではラメを排除した紅白系の個体を繁殖に使いましたが、Ｆ３では広範囲にラメが生じました。



Ｆ２では黒斑を排除して紅白に絞り込みましたが、Ｆ３には黒斑を生じた個体が散見されます。
この黒斑はミユキメダカ由来の形質のようで、他色のメダカとミユキメダカを交配すると生じやすいものです。

依存　或いは　排除させたいと思う特長は遺伝形質が多い程、固定しにくいのでしょう。

見た目で品種を断定することが困難になりました。
交配履歴で品種としてゆくべきかもしれませんが、世代交代のペースが速いメダカですので、これまた困難なことですね。

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　サファイアのショックが鮮烈なものであっただけに、結果に翻弄とされてしまった感じがします。
メダカは、ストレスに弱いと分かっていて、色々と手を掛け過ぎただけに悔しいのです。
しかし、嘆いていても仕方ありませんので、子に期待したいと思います。

　ところで、サファイアを見つけた時、もう１匹、気になる個体を見出していました。
それは、遥かに小さな個体でしたが、白地に黒い一文字が頭から尾に向けて入るという、明らかに他とは異なるものでした。
ブラック系の仔としては珍しいと感じられたため、この個体も加温飼育することにしたのです。

　長らく、サファイアに夢中であったため、忘れかけていたのですが、
「そういえば、どうなった？」
兄弟のダルマ系メダカと同居していましたが、しっかりと黒一文字の姿を見せてくれました。
色は面白いのですが、相変わらず小さいままで成長の遅さに驚きました。
「このままでは、成長しない。」
大きさを合わせるため、幼魚水槽にいるサファイアの仔と同居させました。

　サファイアの仔は次々に成長して育成水槽へと移っていきますのに、この仔だけは相変わらず小さいままです。
でも、少しずつ色付いて来ていました。
光に当てますと、白いと思っていた部分は、青い光沢を持っています。
「やっぱり、青かった。」
白い部分が青く変化するという性質を見て、何かしら安堵した自分がいました。




　そして、この仔はサファイアＮｏ２と呼んでいます。
日に日に青くなってきていますが、今でも小さいままなのです。
「繁殖を狙って焦るのはやめにしよう。」
小さいままで生き続けるのか、夏に向けて少しずつでも成長していくのか見ていきたいと思っています。

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　冬仕度も進み、越冬を控えたメダカ達も底に居つくことが多くなっていました。
それでも、暖かい日には浮いてきて泳ぎますので、少しの餌を与えるようにしていました。

　秋でも、暖かい日がありますと、元々グリーンウォーターの水槽は緑が濃くなり、底が見えなくなります。
棚下に置いた瑠璃幹之Ｆ１の水槽も同様、黒っぽくなり、メダカがいるのかいないのか分からないような状況です。
「今日は暖かいから。」
餌をやろうとした水槽の端に、青いものが浮いているのを見つけました。
「もしかして。」
覗きこんでみますと、やはりメダカの姿です。
そして、それは深い青緑に輝いて見えました。
外光の光沢色とは違う、見たことのない透き通ったブルーをしていました。
まさに、ときめいた瞬間でした。
「これは、大変だ。」
慌てて、そのメダカを掬って温室へ運び込んでいました。





　「でも、何故今まで気が付かなかったのだろう。」
その答えはすぐに分かりました。
温室へ持ち込んで白い容器の澄んだ水へ移しますと、すぐに、薄いグレーのメダカになったのです。
今まで、白い容器で青く見えることに拘っていたり、グリーンが強くない水槽に泳がせていたのです。
普通に見て、薄いグレーという標準的な青幹之と見ていたのでしょう。
ところが、この個体だけは、黒い容器に入れて明るい日差しの下では、美しいブルーに輝いたのです。
その後、瑠璃幹之Ｆ１の水槽を探しましたが、他には見つかりませんでした。

　色の美しさに、サファイアと名付けて、冬の繁殖を進めることにしました。
サファイアは雌でしたので、兄弟メダカから雄を選び１：１交配するしかありません。
お相手には、濃色を維持して体色を損なう外光が生じにくいものが良いと考え、青黒いラメ個体を選びました。

　朝一、サファイアの水槽を覗きこむのが日課になっていました。
冬になり、成長するにつれて青味が増していきます。

　ところが、年が開けて採卵も順調に進みだし、これからと言う時でした。
いつものようにサファイアの水槽を見ますと、雄は元気に泳いでいるものの、サファイアの姿が見当たりません。
「まさか。」
慌てて水槽の奥を探しますと、帰らぬ姿となり浮いているのを見つけました。
「昨日は、元気に泳いでいたのに・・・。」
「何が悪かったのだろう。」
しばし、呆然として動けませんでした。

　幻のような３カ月が足早に通り過ぎて行きました。
そして、サファイアは、少しの思い出と子供たちを残して、旅立ってしまったのです。

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　昨秋、黒幹之から選別した青味の強い個体から採卵した仔たち、
冬が近づき、水温も下がってきます、ゆっくりではありましたが、成長を続けておりました。
仔達は、半々位で、色の濃いものと薄いものに分かれました。

　それを眺めながら、どちらを取るべきかと迷っていました。



色の濃い個体は、白い容器に入れた時には美しい青を表現してくれますが、一般の飼育水槽では黒いメダカにしか見えません。
しかも、そのまま白い容器で飼っていますと次第に色が抜けていきます。
「たしかになあ。」
考えてみれば、ブルーが美しいと表現されているメダカの多くは、白い容器で撮影されています。
検証した際にも、黒い容器に白い底砂を敷いたものが、最も美しく見ることができる。
赤いメダカでも、黒い容器から白い容器へ移した時に真っ赤に見えることがある。
「でも。」
黒い容器で真っ白な底砂を維持して飼育できる人がどのくらいいるでしょう。
多くは、黒い容器やグリーンウォータのように、色の濃いバックで観賞するに違いないのです。
「白いバックに映えても意味が無い。」

　それならばと、色の薄い個体を掬いあげて観察しました。



「やっぱり。」
腹部に若干の光沢がありましたが、どう見ても、普通の弱光の青幹之メダカでしかないのです。
「無駄な事をしているなあ。」
掬ったメダカを元の水槽へ戻しながら、諦めかけていました。
「とりあえず、このまま大きくなるまで様子を見ることにしよう。」

　仔達は、３水槽に分かれて、冬眠の準備に入っていました。

　このあと訪れる、ある事が起きるまでは・・・。

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白バックの展示水槽、ラメ幹之メダカが今一でしたので、再度、入れ替えてみました。
今度は、赤いメダカにです。




側面が黒いですので、赤色の濃さが醒めにくくて、色が保たれています。
底面は白い砂を敷いていますので、メダカの存在がはっきりしますし、白と赤の対比がいいですね。
やはり、体色を強調したいメダカに向いているようです。
品種によって、理想の見せ方を考えるのも面白いことだと思いました。

尚、写真のメダカ（紅頭透明鱗メダカ）は、２０日からの冬特価セールに向けてセットを組んだものです。
綺麗に色上がりしてきましたので、冬場の観賞にいいかも。

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瑠璃幹之メダカの展示用に設定した水槽、展示を終了して飼育水槽へ戻しましたので、空いた展示水槽へ違うメダカを入れてみました。
上見用の水槽で、バックが白いですので、白背景に似合う上見メダカをと思い、販売品の金ラメ幹之メダカを入れてみました。



黒っぽい水槽では目立たない体色の本種ですが、こうしますと色が良く分かります。
眺めていますと、個体毎に少しずつ色が違うことに気がつきました。
少し黒味があったり、背中にぼんやりと青い色が乗っていたりです。
地味な色のメダカには、この水槽の方が体色がはっきりして良さそうです。
・・・ところが、肝心のラメはバックが白いと目立たないのです。
これでは、普通の日本メダカに見えてしまいますね。
入れるメダカを再検討です。

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たくさんの黒系幹之メダカから選出した瑠璃色が美しいメダカです。



しかし、水槽や装飾の色、周囲の明るさや光線の具合によって、同じメダカとは思えないほどに違って見えるのです。
店に展示するにあたって、どうすれば本種の良さを見ていただけるだろうかと考えました。

８月半ばから、繁殖のために採卵用の水槽を設けましたが、採卵用の水槽にいる本種が最も美しい瑠璃色をしていたと感じられます。
何故なのでしょう？
繁殖用の水槽は、水色のプラスチック容器に白黒混合の底砂を敷いたもので、藻類が側面と底面に付いていました。
棚の上に置いていたため、比較的日当たりが良い環境で明るい状態でした。
であれば、白い容器で展示するのがいいのでしょうか？
保護色を有していますので、白い容器に長時間入れていますと、濃い黒であった体色が覚めてしまいそうです。

というわけで、少し検証をしてみました。
方法は、５面が透明なガラス水槽にメダカを泳がし、水槽の周りを次の４パターンに設定しました。
１．５面を黒色で覆う。
２．底面は黒色に、側面の４面は白色で覆う。
３．底面は白色に、側面の４面は黒色で覆う。
４．５面を白色で覆う。
それぞれ、条件を設定して１０分後に、どの条件にした時のメダカが最も狙っている色を出しているかを確認しました。
写真は、自然光で撮影したものですが、青い面の露出が１／１６０秒でＦ５．６でしたので、全て同じ露出で撮影しました。

１．５面を黒色で覆う。


２．底面は黒色に、側面の４面は白色で覆う。


３．底面は白色に、側面の４面は黒色で覆う。


４．５面を白色で覆う。


写真では、周囲の白が増えるほど、メダカの体色は薄くなっています。
同じ露出で撮影しますと、メダカの色の変化が良く分かります。
濃い色のメダカを見ていただきたいと思いますと、周囲は黒い方がいいことになります。
しかし、バックが黒ですと、溶け込んでしまい目立たないですね。
結果として、底面が白くて、側面は黒いものが良いと思われました。

採卵用の水槽は、白と黒の配合が丁度良かったので、美しく見えたのでしょう。
展示水槽は、満足とは言えませんが、本種の色を見ていただける環境にはできたと思います。

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　１０月８日から１０日まで、瑠璃幹之メダカを展示します。
　美しく見ていただけるように条件を整えて展示しますので、お近くへお越しの際はお立ち寄りください。

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その仔たちは、忘れられたように静かに育っていきました。
３カ月が経ち、春からの繁殖がひと段落ついた８月のある日でした。
採卵が可能なサイズに育っていましたし、多くの個体に外光が伸び始めていましたので、選別することにしました。

そもそもが、黒幹之を作出するために交配を続けてきたものですので、多くの黒い個体の中に、白っぽい個体が混じっています。
それらを、掬いあげてガラス水槽へ移して体型や雄雌の確認をするのです。
すると、どうでしょう、移した瞬間に濃い青紫に変化する個体がちらりほらりとしています。
中には、中強光に伸びた外光の入った個体もいました。
結局、全てを確認して、９匹の青い個体を得ることができました。



白い容器に入れますと、黒地に濃い青の光沢面が体の側面に入っているように見られます。
体内光の様に光沢を生じているのではなく、腹膜と虹色鱗の構成によって生じているように思われます。
色合いが、青というより紫がかって見える様子から、青い動植物に一般に使われている瑠璃という言葉を使い、瑠璃幹之と呼ぶことにしました。
とにかく、瞬間に吹いた瑠璃色の風のときめきは、私を虜にしたことは確かです。







早速、春に選別した２匹と合わせた１１匹から、大きい個体を選んで、採卵を始めました。
採卵用水槽は、本種の色を引き出すのに丁度良い色合いなのでしょう、どの個体も濃い青紫に見えます。

仔は、まだ幼魚ですが、白いものから黒いものまで、色の濃さが異なるメダカが生まれてきています。
黒い個体同志で採卵した時の白黒分離とは違っているようです。
本種の交配には６種類のメダカが関係していますので、色々な仔が生れても不思議ではないでしょう。
この仔達が、どのようなメダカに育つのか、楽しみです。

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時々、「どこどこで、真っ青なメダカを見た。」とか、「＊＊さんとこに青いメダカがいる。」という話を聞くのですが、私は実見したことがなく、理論的にも青い色素を持たないメダカに青いものがいるはずがないと思っていました。
けれども、幹之系の交配種の中に、ごくまれに他のものに比べて特に青いと思える個体が混じっていることがあります。

写真は、今春見つけた青い個体なのですが・・・、



「うそだろ」と言われそうですね。
写真のマジックも多少あるでしょうが、加工したわけではないですし、この日に撮影したこの個体の写真は全て同じ色に写っているのです。
肉眼では、もっと濃い青紫であったと記憶していますので、条件を変えて撮り直しました。

白バックでは、


黒バックでは、


と、こんな感じですね。
青いメダカが青く見えるのには、色々な条件が重なりあった時だけなのではないかと思いました。
それでも、あこがれのブルーメダカです。

ところで、この個体なのですが、昨秋に一匹だけ見つけた青味の強い個体と兄弟メダカとの間に生まれた仔です。
いつもでしたら青い個体に限って外光がほとんど入らないものですから「交配に使う気にならなくて・・・」となってしまうのですが、親個体には中光程度の外光が入っていたため、青黒くて決して美しいと言える色ではありませんでしたが交配に使うことにしたのです。

昨秋に採卵した仔の中で、今春選別して青いと感じたものは、２雌だけでした。
確率にしますと、１％くらいでしょうか。
しかも、やっぱりというか、外光が入っていません。

今春も続けて採卵しておりましたが、外光ピカピカの幹之メダカを作ることが優先であるため、本交配の仔たちは取り残されたように忘れていきました。
まさか、こんなことになっていたとは知らずにでした。

（続く）

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　無駄なく開発するために、検討してきましたが、メダカ飼育に関しての嗜好が変化してきているのも確かでしょう。
金魚や錦鯉もそうですが、今後は、一匹の優秀な個体を求める傾向が強くなっていくことでしょう。

それほど、多様な種類が普及してきたということですね。

　不安定な新しいものを追いかけるという開発よりも、既存の中から秀逸なものを求めること、これも、開発と言えるものでしょう。
多数の交配によって弾かれる不要なメダカを減らすという効果がある半面、累代交配が強くなることによる弊害もあるでしょう。
それだけに、同じ種類であっても、他の血を入れていくことはしなければなりません。
　優良選抜個体を親にすることだけに拘りなく、別種交配を取り入れることと、交配する別種においても優秀個体を選抜していくことが、無駄の無い繁殖に繋がっていくものなのだろうと思うのです。





今後は、多様性よりも、同じ種類で体型や色の秀逸な個体に絞り込んでいく開発へ目を向けたい。と思います。

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ところが、片親であっても同じ遺伝子を引き継いだ個体の繰り返し交配によって、障害が生じることになるのです。
近親交配では、ある程度の障害が生じるのは仕方がない部分もあるのでしょうが、
骨曲がりなどの体型異常が多数出たりすると、やはりショックですね。
体型異常に関しては、少々、色や形を犠牲にしても異常が生じていない個体を選ぶのか、あくまでも、色や形を重視するのかの判断が必要になります。基本は異常が無い個体を使うのですが、どうしてもこの一匹しかいない個体でなければということもあるのです。
片親に異常が生じていないことを十分に確認して交配に使うしかない現状です。
さらに、やっかいなのは、単姓化（雄か雌のどちらかしか生まれない）が生じるようになりやすいことでしょう。
単姓化してしまいますと、その交配はそこで終わりです。
単姓化が生じたときに対応できるように考えておくことも、無駄を無くすために重要です。
その意味では、複数交配は必要な手段となってしまうのです。
難しいものです。
（つづく）


紅頭パンダメダカ
昨年、世代が進んだためでしょうか単姓化が生じた種類です。
併行して赤いパンダ透明鱗を交配していましたので、赤いパンダメダカと再交配をしました。


幹之ブラックメダカ
こちらは、背中の光沢が重要になるのですが、雄に光沢が生じた個体が少なく、雌のみになってしまった例です。
幹之アルビノを交配していましたが、アルビノには光沢が生じた雄が多数出ましたので、交配親に使ったものです。

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　それで、ほぼ固定した種類の増産の傍ら、新しい種類を狙って交配に加えるのです。
ほぼ固定した品種からは、ダルマメダカやヒカリメダカへ展開して行くのが一般に開発増産のストーリーです。
その場合でも、雄の個体選びは重要ですね。
　一般的に雄の方が色も鰭などの大きさも目立って美しいですので、優秀な個体を選ぶことで最高位のメダカを維持していけるということでしょう。
そこへ、品種展開のための雌を考えるのです。
同じ系統のヒカリメダカやダルマメダカを交配した場合、あまり外れた個体は出てこないですので、無駄のない交配と言えます。
そこへ、プラスして、別品種の雌と少数交配させておきます。
雄の個体を固定していますので、生まれた子に生じる雄側の遺伝傾向が分かり易いですね。
少数の交配ですので、いい個体が出ないとしても、雄側の遺伝傾向が掴めますので、次の交配が考えやすいでしょうし、併行して同じ父親の子が存在していますので、戻し交配もし易いでしょう。
　交配では良個体が少ないだけに、雄を固定することは無駄を省くためにも有効な手段ですね。
（つづく）





紅頭ヒカリ透明鱗と紅頭透明鱗、初期の頃、紅頭ヒカリ透明鱗の優秀な雄に、兄弟の雌＋楊貴妃透明鱗の雌を交配したものです。
この交配範囲では、全て近縁種が生まれてくるのですが、さらに併行して、同じ雄から黒や青などの全く別品種との交配を少数作っています。
特異なものが生まれなかったとしても、戻し交配という手段がとれますね。

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　そして、最も思うことは、めだかを大切にしたいということです。

　むやみに交配して、どれだけ無駄なメダカを作ることになるのかと考えてしまうことが度々あります。
特質の出現確率が低いもので、出現しなければ見向きもされないようなメダカは、特にそうですね。
皆さんは、どうされているのでしょうか。

　販売している方は、格安品のミックスとしてでも販売することになるのでしょうけれど、
これまた、その中から目指すものが出てきたりしてショックだったり・・・。
でも、大切に育ててもらったということであれば、良しなのでしょう。

　そんなメダカも、数が増えてきて販売にもつながらなくなれば、つらいですね。
それで、どうしても安全圏に向いてしまうのです。
目指すものが出現しなくても、それなりに美しい　とか、人気がある　とか、ですね。

　でも、それだけでは発展性がないことにもなってしまいます。
ジレンマですね。

（つづく）


紅頭透明鱗ダルマ系メダカ
特質が出た個体は最高ですが、出なくても、赤い透明鱗や赤いダルマになる。
安全圏のメダカでしょう。


出目系楊貴妃透明鱗メダカ
こちらも、たとえ出目にならなかったとしても美しいメダカであることに変わりないですね。
外れても、育てる価値があるメダカです。

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それから、方向性を考えることも大事ですね。
現状のメダカ界の方向性はどうなのでしょう。
・金魚や錦鯉のように、赤を基調とした個体の美を楽しむ方向
・観賞魚の通例として、色とりどり、様々な形態のものの集団美を楽しむ方向
・メダカ独自の楽しみ方を創出する方向
と考えてみるわけです。
種類によって、和の要素が強いと思われるものから、カラフルで光沢があるような洋的なものまで、色合いや形態の変化に幅がありますし、
何といっても、小さいことが特長ですので、集団美は切り離せないですね。
そして、繁殖が比較的容易であることから、増殖することを視野に入れた開発も必要でしょう。
方向性を判断するということ、難しい選択です。
私の中では、
上見を主体とした和の美が大きい要素ですが、集団美を楽しむものとして捉えています。
やはり、赤を主体とした色彩明瞭な良個体を追いかけるべきと考えてしまいます。
そこが、開発品種としての悩み所なのです。

（つづく）


三色系の個体
和のイメージが強い種類で、個の良さを味わう対象でしょう。
優秀個体の追求という楽しみがある半面、集団美としては弱い面もありますね。


幹之メダカ（強光沢系の種類）
絶対的に、上見で集団美を楽しむ種類ですが、和の美のイメージではないですね。

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　長期間かけて開発するのですから、なるべく良いものを確実に作りたいですね。

　全く新しい種類や目立って他とは違う種類がそう簡単に生まれてくるものではありませんので、部分的に特長があるものを遺伝させることが定石でしょう。
であれば、個性を引き出した開発をしたいものです。
体のある部分に注目するとか、色に拘るとか、体型に拘るとかといったことです。
今や各地で数多くの種類が作り出されているのですから、これからは、拘りを持って開発することでしか、オリジナルな良いメダカが作れないのではないでしょうか。

　特に珍しいというものではなくても、一つ、ピカリと光るものを持ったメダカを作りたいと思うのです。

（つづく）



強光紅白ヒカリダルマ系メダカ
私が拘りを持って開発を進めようとしている品種の一つです。
背中の光沢もそうですが、本種の拘りは尾びれの美しさです。
尾びれが特に赤くて大きい個体が生まれてきたことから、常に尾びれが大きいことを意識して交配親にしています。
そのために繁殖が困難になる傾向があり、多くの子を蓄えられない問題があるのですが、尾びれが立派な個体の生まれる確率は上がってきています。
できれば、三尾身　いや、二尾身のメダカを作って固定したいと交配を続けているのです。
本種をお持ちの方はご確認ください、おそらく尾びれの立派な個体が混じっているのではないかと思います。


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　さらに、考慮したいことがいくつかあります。

　流行もその一つではないでしょうか。
観賞するものであることは、流行に左右されるものであるということです。

　動植物で流行を予測して作るのは難しいことだと思います。
メダカのような短いスパンのものでも、固定化出来てから数を揃えて売り出すのに２年は掛かります。
とりあえず出して、反応を見てから量産するということができないですね。

　園芸や他の観賞魚では、数倍の年月が掛かるものでも、何年も先を見越して開発されているのですね。
恐れ入ります。
と、他人事の様に言いつつも、人気度会いを無視して自分の好みのものを作るということでは、開発と呼べないでしょう。
また、ファッションは、追いかけるものではなく、引き起こすものであるとも言われます。

　開発と言うからには、数年後に多くの人が求めて育てるようなメダカを世に送り出すことができれば　と、「こんなメダカならば・・・」を想像して取り組むことが必要なのでしょう。

（つづく）


三色系透明鱗メダカ
錦鯉を連想させる三色系のメダカは、近年の流行種ですね。
狭い水槽で実現できる箱庭的な環境に同調する品種であることと、色や模様が個々に違う面白さが人気を呼んだのでしょう。

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　もうひとつ、観賞性という条件が考えられます。
観賞魚では美しいこと、食材で言いますと美味しいということは重要ですね。
如何に希少であっても、育成が容易でも、美しくなければ意味がないでしょう。

　では、どのようなものが美しいのでしょう。
赤い、白い、光沢がある・・・様々です。
人により好みも違いますので、美しさを感じるものの基礎を理解して、方向性を決めるのがいいのでしょう。

　美しいにも、２つの要素がありますね。

　一つは、色味で、引き立つ色のものや光るものに美しさを感じるのです。
色では、補色関係にある方が目を引くと言えますね。
水槽内の色は、主に緑、茶、黒など暗色の傾向がありますので、赤や白、黄など明色系の方が人気が高いでしょう。
それに対し、光沢の効果はバックが暗色である方が、引き立ちますし美しいと感じるものです。
何色のメダカを作るのかを決めて、じっくりと交配したいものです。

　もう一つの美しさの要素は、形です。
すらっとしたスリムなメダカや各部が均整のとれたメダカには美しさを感じるものです。
バランスの取れた個体であるか、引き出したい特長が形の良いものであるかに注意して親選びをするべきでしょう。

　色や形態的に美しい個体を見出すことと、それを次代へ引き継いでいくことは、開発の最大の条件と言えそうです。

（つづく）


紅白系ヒカリメダカ
私は、この様な色味のメダカに目を引かれます。
水槽の中での色彩や形のよさ、さらに色を添える光沢部が美しいと感じます。
珍しさが無くなったとしても大切に育てていきたいと思えるメダカです。

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　例えば、多数を採卵して育てて、非常に珍しい個体が得られたとします。
その子に、同じ様な変異が生じれば開発の可能性がありますね。

　しかし、同じ様な変異の個体が多数生まれてしまえば、希少では無くなってしまいます。
ましてや、軽微な変異であれば、継続して累代育成するべきか迷うところでしょう。

　希少ということだけで、開発対象とするのは早計なようです。

　生産性についてはどうでしょう。
生産性にも、二つの意味があります。

　一つは、承知のとおり、繁殖や育成の難易度です。
どうしても開発したいと思う個体がいたとしましても、繁殖力が弱くて成長も遅く飼育が困難ですと、思う様に増殖できないですね。
形態的な特長ばかりでなく、育成しやすい個体を選ぶことが必要です。
その意味では、原種に近いものの方が開発向けと言えるでしょう。

　もう一つは、固定率で、開発の重要な要件です。
こちらは、開発対象が固まって、見本個体が出来てから考えることかもしれません。
希少な個体が得られたとしても、固定化しないだろうと思えるものは、時間がかかることを承知の上で臨む必要がありそうで、開発の優先度が下がってしまいます。

希少性と生産性という相反する条件で、両立させるような開発検討には無理がありそうです。

（つづく）


白メダカ
今では希少と言えるものではありませんが、継続的に人気があり、丈夫で作りやすい、優良な開発品種の一つだと思います。

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　毎年、秋になりますと、今度はどんなメダカを開発すべきか？と頭を悩ませます。
「今度はこれだ」とトピックスな親候補がいれば別ですが、作りたいと想像できる親候補が簡単に見つかるわけでもなく、どれとどれを交配すればいいのかをいつも思い巡らせることになるのです。
多数の組み合わせで交配を行って選別できるほどの場所も時間も無いだけに、いかに効率良く開発できるかを考えて次の交配を決めることは、最重要な事になっています。
頭を悩ませるついでに、どのようなメダカを開発することが望ましいのかということを含めて、考えていきたいと思います。

　開発を考えた場合に、要求される条件は何なのでしょうか？
農業や水産業の場合は、食品としての価値・生産性・希少性などが要求されるでしょう。
美味しくするために、数を増やすために、作りやすくするために、大きく高級なもので商品価値を上げるために、開発が続けられています。
　では、観賞魚としてのメダカではどうなのでしょう。
私が思うのには、希少性・生産性・観賞性などが考慮する条件ではないでしょうか。

　品種開発という観点で、要求される条件について、詳しく見ていきたいと思います。

　まず、希少性です。
メダカを趣味とする方の多くは、この「希少性」を追い求めていらっしゃることと思います。
希少価値、つまり、珍しいことは重要な条件です。
　「珍しい」には、二通りありますね。
　一つは、色や形が常態とは並はずれていることです。
想像とは異なったものの発見は、興味をかきたてる対象として十分なものでしょう。
　もう一つは、同じ色や形のものが生じない、少ないということです。
数が少ないものほど手に入れたいと思うのは、自然な感情でしょう。

　この「珍しい」ということだけで、魅力のあるものになってしまうのは確かでしょう。
では、多数繁殖させたメダカから、珍しいものを拾い出して開発候補とすればいいのでしょうか？

（つづく）


出目メダカ
発売された当初は代表的な希少種メダカでした。

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