めだか奮闘記:複色メダカ(2)
気付かなかった、赤いメダカ。
昨年の年初、温室で越冬しているメダカたちを観察していた時のことでした。
久々に覗いた楊貴妃×透明鱗メダカの水槽に赤い塊を見つけました。
と、言いますのも、楊貴妃×透明鱗メダカの水槽は、棚の奥に追いやられ、その水は珪藻で緑濃く、魚が居るのか居ないのか解らない状態であったのです。
前年の秋遅くまでは、他の交配に使っていたりしましたので、屋外ではなく、温室の中に置いていたのですが、卵を取る気など無いため、そうなってしまったのです。
赤い塊は、私が覗いた瞬間に姿を消したのですが、
「多分、めだかだ。」
と思いますと、ほぼ同時にネットで緑の水を掬っていた様に思います。
探して、探して、出てきたメダカは、また、予想に反するものでした。
「こりゃ、大変や。」(慌てると、大阪弁になってしまいます。)
写真は、春になって撮影したものですが、頭だけが赤いメダカを見つけた時には、一瞬、わが眼を疑いました。
じわじわと、うれしさが込み上げて来たのを覚えています。
でも、1匹ではどうしようもありません。
慌てて、2匹目を探しましたが、何処を探せど、二匹目のドジョウは見つかりませんでした。
仕方がありません、雄の様でしたので、
「どの雌と交配するべきか・・・」
色々と迷いましたが、同じ水槽にいた色の薄い兄弟メダカ と 楊貴妃メダカ を、1雌ずつお見合いさせ、3匹で交配させることにしました。
産卵条件を整えて、普通であれば順調に産卵する筈なのですが、中々産卵しない、産卵しても少しで、全て未受精卵なのです。
結局、春が過ぎ、夏が来て、環境を変えたり雌を替えたりしたにも関わらず、1卵も得る事が出来ませんでした。
このメダカは、子孫を残さないまま、秋には天に召されたのでした。
「採卵をしたいが為、無理な飼育をして、寿命を縮めてしまったかもしれない。」
今でも、そう思うのです。
しかし、この1匹のおかげで、もう一度、楊貴妃×透明鱗を見直すことになったのは確かです。
そして、その時には、同じ遺伝子を持っているのではないかと思われる個体が生れていたとは、思っても見ないことでした。
(つづく)